お知らせ
絵の発達段階について
製作ブログ7回目はまたまた岩田和也です(^^)!急に寒さを感じるような季節になりましたね。だがしかし、私は半袖です。子ども達と日々関わっていると心が温かくなっているので・・・
さておき今回は、子どもの絵の発達段階についてお伝えしようと思います。
子どもの絵には発達段階というものがあります。
子どもの絵の発達段階とは、発達に伴う子どもたちの絵の変化を年齢と段階によってわかりやすく示したものです。年齢順に見ていくと、発達には順序があり、多少の早さや遅さの違いはありますが、基本的にほぼ同じ発達の道筋をたどっていきます。
①擦画期(1~2歳)
字のごとく、こすりつけて描いた絵です。子どもが一番初めに出会う絵です。子どもははじめに自分の手の運動や痕跡が現れることに興味を持ちます。
例えば、こぼした牛乳や水をテーブルや床に指でこすりつけたりなどその感触を楽しみ、その痕跡に興味を持ちます。そして白い紙にクレヨンや絵の具をこすりつけ、満足した表情を示します。
子どもの絵はここから始まります。
子どもは最初から自分の感情や考えを表そうとして絵を描くわけではなく、このように材料体験の面白さが進んでメラメラ描き(ぐしゃぐしゃ描き)を盛んにするようになり、これが子どもの絵の出発点です。
この時期の子どもの絵は運動的な快感とよごす興味によって描かれています。この時期の「なすりつけ」「こすりつけ」は決して意味のないものではありません。一つ一つの行為を感じ、確かめ実験を繰り返しているのです。
その行為はとても子ども自身にとって意味のあることなので、取り上げたり禁止することはせず一緒に見守ってあげましょう。
②錯画期(1歳6ヵ月~3歳)
この時期の子どもの絵は今までぎこちなく打ち付けられていた点や身体の重みで引かれたこすりつけの線とは違い、意思のあるしっかりした線を描きます。強い線がたくさん引かれ、やがて、曲線が引かれ、円形の線も描けるようになってきます。
大人から見て、ただのいたずらとしか見えないこの「なぐり描き」の時代は、物に作用し、その物と自分との関係を知り、眼と手の運動を一致させるものであり、肉体的にも快い満足感を得ているのです。
この時期を経て、次に物の形が生まれてくるのであり、形になっていないからといってこれを禁止したり、早くから何か形らしい物を描かせようと無理強いしてはいけません。
この時期は、自分の意思で描いた線が元あった物の景色を一変させたことに満足し、「ほら!見て!」と共感を求めてきます。
この時期にぐしゃぐしゃ描きやなぐり描きを充分にやって満足した子どもは絵を描くことの好きな子どもになっていきます。
③象徴期(3~4歳)
子どもはぐしゃぐしゃ描きをしているうちに、お話をするようになり、線のかたまりや円形らしき物を指して、「りんご」とか「おかあさん」とかいうようになります。
それは大人からみれば、そのものの形といえるものではありません。
この時期の子どもの絵には三角や四角や円らしきものが記号のように象徴的に表れます。見たり聞いたりの経験のなかで、偶然に思いついたことを象徴的に表すもので、最も自己中心的な時期です。
また、「何を描こうかなあ?」と考えてから描くのではなく、描いた後でその象徴的な形からある具体的な形を連想し意味づけします。ですから、「考えてから描く」のではなく、「描きながら考える」を繰り返しながら絵が展開していきます。
お話を一緒に聞きながらお絵描きを見守ってあげる時間が子どもの自己肯定感を育み、とても安心する時間です。
この時期に「頭足人」という頭から手足が描かれた人物が描かれることがあります。
この表現も世界中の子ども達に共通する表現です。
④カタログ期
この時期は、自分の知っている形がいろいろと描けるようになります。3~4歳にかけて、多くの子どもはこの段階に達し、知的欲求も目立ち、記憶力や思考力も発達し自分の知っていることや経験したことを表現しようとします。
物の形は簡単な線により暗示的説明的に表現されます。描かれている形は説明されなくても十分に理解できます。
この時期の絵の特徴は、描かれた物同士が全く関係がないことであり、大小関係、因果関係、つりあいなどがとれていません。木を描いたかと思うと次は魚、太陽といったように脈絡なく並べていきます。
ちょうど商品のカタログが並んでいるように描かれているので、カタログ期と呼ばれています。
この時期は言葉も相当豊富になっている時なので、指導者は物の大小の比較や正確さや順序などを正すようなことは言わないようにしましょう。
絵を描いている時に話す子どもの話を聞き、共感や興味をもって質問などをして子どもがたくさん描きたくなるように促していくことが大切です。
⑤図式前期(5~6歳)
子どもが知的な面でも情緒的な面でも成長してくると、自分を取り巻く周囲との関係や状況を知るようになってきます。
そして、人とはこんなもの、家とはこんなもの、自動車とはこんなもの、というように一つ一つの事物について確かな認識を持ち、それぞれの概念も形成されていきます。
特徴的なことは、例えば家、木、太陽、山、花などに見られる記号的(図式的な)要素がどの子どもにも共通していることです。
画面には上下左右ができ、大小のバランスや物と物との関係づけができてきます。色についても物の個有色を使う傾向が出てきます。
図式前期の子どもの絵の大きな特徴として「ベースライン」があります。
これは地面との境界に一本の線が引かれ、その上に家、木、花、人物などがこのベースラインの上に並びます。空は上にあり、空の境界にも線が引かれることもあります。
地面は常に下にあり、したがってベースラインも画面の下方ギリギリに引かれることも多いです。
また画用紙の下の緑をベースラインと考える子どもも多く見られます。地面と空の間はよく何も描かれていない空間になりますが、ここは「空気」になります。
⑥図式後期(7歳以上)
図式前期を過ぎて後期に入ってくると、物と物との重なりや遠近が画面に表現されてくるようになります。
そうすると空は下方に下がり、地面が上方に上がり、空と地面がやがて接するようになり地平線や水平線が見られるようになります。
この時期になって、子どもは立体的な表現が可能になってきます。見えたとおりに描くことができるようになり、写実に興味を持ってくるのです。物を見て描く方法はこの時期から出発させることが重要です。
図式後期以前に写実を強要すると、子どもの認識に追い付いていないため理解の消化不良を起こす時があります。
あくまでも個々の発達段階を見て、時期にあった指導をしていくことが大切です。
Ecoldでは、アートポンで自由に子どもたちが描いた絵を画面に映し出し、毎回みんなの前で描いた絵を見てもらいます。日々、子どもたちの絵が年齢によって成長していく姿が絵から感じることができるので毎回楽しみです。
今回は以上です。また次回お楽しみに!